川棚のクスの森: 千年余の巨木に宿る歴史と文化

下関市豊浦町川棚下小野にある「川棚のクスの森」は、樹齢千年余りと言われる巨木が森のように枝を広げる、国の天然記念物に指定された名勝です。

壮観な樹形と歴史

一本の楠の木でありながら、18本の枝が四方に広がり、まるで森のように見えることから「クスの森」と呼ばれています。

幹周り約10メートル、高さ約25メートル、枝張りは東西46.5メートル、南北49メートルにも達するその姿は、見る者を圧倒する壮観です。

大正11年に国の天然記念物に指定され、平成2年には「新日本名木百選」にも選ばれました。

大内義隆公の愛馬「ひばり毛」の伝説

このクスの森には、大内義隆公の愛馬「ひばり毛」に関する伝説が残されています。

天文20年(1551年)、家臣の陶晴賢に謀反を起こされた義隆公は、愛馬とともに川棚ヶ原に逃れ、最後の戦いを挑みました。

しかし、この戦いでひばり毛は敵の刀によって深手を負い、命を落としてしまいます。

義隆公は愛馬の死を深く悲しみ、そばにあった楠の木の根元にひばり毛を葬り、その霊を祀りました。

これが「霊馬神」と呼ばれるようになった由来です。

山頭火の句碑

すぐ近くには、俳人・種田山頭火の句碑が建てられています。

「大楠の枝から枝へ青あらし」

この句は、クスの森の力強さ、生命力、そして歴史を感じさせる風情を巧みに表現しています。

アクセス情報

  • 所在地:下関市豊浦町川棚下小野
  • 交通:
    • JR山陰本線 川棚温泉駅からバス11分「浜井場」下車、徒歩6分
    • JR山陰本線 川棚温泉駅から車で8分
    • 小月I.Cから車で26分
  • 問い合わせ:豊浦町観光協会 083-774-1211