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【下関・彦島八幡宮】海から現れた黄金の鏡!?神秘の伝説と「サイ上り」神事のルーツ

【下関・彦島八幡宮】海から現れた黄金の鏡!?神秘の伝説と「サイ上り」神事のルーツ

下関市の彦島に鎮座する「彦島八幡宮(ひこしまはちまんぐう)」。

地元で親しまれるこの神社には、海から引き揚げられた**「光り輝く鏡」**にまつわる神秘的な伝説と、ユニークな掛け声で知られる神事のルーツが秘められています。

今回は、伊豫(いよ)水軍の武将が導かれた不思議な運命と、彦島八幡宮の知られざる歴史ロマンをご紹介します。


✨ 海上で発見!紫の雲と黄金の光

彦島八幡宮の始まりは、平安時代末期にさかのぼります。

キーパーソンとなるのは、伊豫水軍の祖であり、伊豫の国(現在の愛媛県)勝山城主であった**河野通次(こうのみちつぐ)**という武将です。

保元の乱に敗れて彦島へ逃げ延びた通次は、武士を捨て、この地で永住することを決意します。

それから20年後のある日、彼が沖で漁をしていると、信じられない光景に遭遇します。

海上に紫色の雲がたなびき、黄金色に光る物体がある…!

通次が網でそれを引き揚げてみると、なんとそれは**八幡尊像が裏に刻まれた「明鏡(鏡)」**でした。


⛩️ 「光格殿」から始まった神社の歴史

この奇跡を「一族の護り本尊」として喜んだ通次は、海辺の小島に祠(ほこら)を建て、その鏡を祀りました。

その祠は**「光格殿(こうかくでん)」**と名付けられ、これが現在の彦島八幡宮の発祥とされています。

その後、正平4年(1349年)に、通次の四代孫である道久が神託を受け、現在の鎮座地である「宮ノ原」に社殿を造営し、遷宮を行いました。


🗣️ 「サァ揚らせ給う!」サイ上り神事の起源

彦島八幡宮に伝わる独自の神事**「サイ上り」**。

その起源もまた、河野通次のエピソードに由来しています。

通次は、森の楠(くすのき)で彫った八幡尊像を光格殿に奉納した際、武運長久と一族の繁栄を祈り、感極まってある言葉を叫びながら踊りました。

「サァ揚(あが)らせ給(たま)う!!」

この時の「サァ、神様がお上がりになるぞ!」という喜びの叫びと舞が、現在まで伝わる「サイ上り」神事の始まりだと言われています。


ℹ️ 基本情報&アクセス

歴史と伝説が息づく彦島八幡宮。

境内を歩けば、開拓の祖・河野通次が見た神秘的な光の記憶を感じられるかもしれません。

項目内容
スポット名彦島八幡宮
所在地山口県下関市彦島迫町5丁目12-9
お問い合わせ083-266-0700

🚗 アクセス

  • 【バス】
    • JR「下関駅」からバスで約14分、「東圧正門前」下車、徒歩3分
  • 【車】
    • 中国自動車道「下関IC」から約14分

💖 まとめ

敗走の末にたどり着いた島で、光る鏡に出会い、新たな歴史を刻んだ河野通次。

彦島八幡宮は、そんなドラマチックな伝説に彩られた場所です。

下関を訪れた際は、彦島の総氏神様へ参拝し、古のロマンに触れてみてはいかがでしょうか?

【下関・長府】実はここが日本初!?「蚕種祭」で触れる養蚕発祥の歴史ロマン

歴史の街・下関市長府。

城下町の風情が残るこの街に、ある意外な「日本初」の歴史が刻まれていることをご存知ですか?

それは、日本の伝統産業である**「養蚕(ようさん)」**。

実はここ下関は、日本における養蚕発祥の地とされているのです。

その歴史と伝統を今に伝える神事「蚕種祭(さんしゅさい)」が、毎年3月28日に忌宮神社(いみのみやじんじゃ)で執り行われます。

今回は、古代ロマンあふれる伝説と、貴重な伝統行事の魅力をご紹介します。


🐛 1800年前の贈り物。秦の始皇帝の子孫が伝えた「蚕種」

物語は今から約1800年も昔にさかのぼります。

秦の始皇帝の子孫といわれる**功満王(こまおう)**が、この地で仲哀天皇に「蚕種(さんしゅ=蚕の卵)」を献上しました。

これが、日本における養蚕の始まりと伝えられています。

山口県最大級!「蚕種渡来の地」の碑

忌宮神社の境内には、この歴史的な出来事を記念して昭和8年(1933年)に建立された**「蚕種渡来の地」の碑**がそびえ立っています。

高さ約6.3メートル、重さ約37.5トンという自然石を使った石碑は、山口県内でも最大級の大きさ。

全国からの寄付によって建てられたこの堂々たる姿は、ここが日本の絹文化のルーツであることを力強く物語っています。


🧶 毎年3月28日開催!伝統技を見る「蚕種祭」

毎年3月28日には、蚕の豊作と産業の繁栄を祈願して「蚕種祭」が開催されます。

このお祭りの見どころは、なんといっても伝統的な技の実演です。

生糸つむぎと機織りの実演

祭典では、実際に生糸をつむぐ様子や、機織(はたおり)の実演が行われます。

昔ながらの道具を使い、繊細な手つきで糸を紡ぎ出していく光景は、日本のものづくりの原点を見るかのよう。

普段はなかなか目にすることのできない貴重な養蚕文化を、間近で肌で感じることができる特別な一日です。


ℹ️ 基本情報&アクセス

歴史ある長府の街並み散策とあわせて、ぜひ訪れてみてください。

項目内容
イベント名蚕種祭(さんしゅさい)
開催日毎年3月28日
開催場所忌宮神社(山口県下関市長府宮ノ内町1-18)
見どころ蚕種渡来の地の碑、生糸つむぎ・機織りの実演
お問い合わせ083-245-1093(忌宮神社)

🚗 アクセス

  • 【バス】
    • JR「長府駅」からバスで約7分、「城下町長府」下車、徒歩5分
    • JR「下関駅」からバスで約23分、「城下町長府」下車、徒歩5分

💖 まとめ

1800年前に海を渡ってきた小さな蚕の卵が、やがて日本の着物文化を支える大きな産業へと育っていきました。

巨大な石碑を見上げ、糸を紡ぐ音に耳を傾ければ、悠久の時を超えた歴史ロマンを感じられるはずです。

春の長府で、日本のルーツに触れる旅を楽しんでみませんか?