お亀銀杏(亀山八幡宮): 悲劇と感謝の物語が織りなす美しい伝説

下関市中之町にある亀山八幡宮内のおかめ明神は、海峡の潮の流れを鎮めるために人柱となった遊女「お亀」の悲劇と感謝の物語が伝承される神社です。

お亀の勇敢な決断

江戸時代初期、亀山八幡宮一帯は島でしたが、街の発展のために陸続きにする埋め立て工事が行われました。しかし、急流によって工事は難航し、人柱を立てることが決まりました。

当時、稲荷町(現・赤間町)の遊女「お亀」は、疱瘡を患い顔に「アバタ」がありました。

「お亀」は、自分の命が町の人々の役に立つならと、人柱として申し出ました。

人柱となり、工事を成功に導く

月明かりの夜、「お亀」は白衣に身を包み、海へと消えていきました。

人々は「お亀」の尊い犠牲に感謝し、工事を急ピッチで進めました。

すると、不思議なことに潮の流れは穏やかになり、工事は無事に完成しました。

お亀銀杏と八丁浜

人々は「お亀」の功績を称え、境内にイチョウの木を植えて「お亀イチョウ」と名づけました。

このイチョウは、秋になると無数の斑点のある実をつけ、「お亀ギンナン」と呼ばれました。

明治時代には天然痘除けのお守りとして、現在では無病息災、延命長寿のご利益があるとして人気があります。

また、「お亀」の犠牲によって埋め立てられた浜は「八丁浜」と呼ばれ、毎年5月には五穀豊穣を祈願する五穀祭が行われます。

祭では、「八丁浜エラヤッチャ」と呼ばれる独特の囃子に合わせて杓文字を叩きシャギリ踊る「八丁浜踊り」が奉納されます。

八丁浜踊り

八丁浜踊りは、博多の「博多どんたく」のルーツとも言われ、「お亀」さんの勇敢な精神を讃えるとともに、豊作への感謝の気持ちを表現しています。

アクセス情報

  • 所在地:下関市中之町1-1
  • 交通:
    • JR下関駅からバス7分「唐戸」下車、徒歩5分
  • 問い合わせ:亀山八幡宮 083-231-1323

まとめ

お亀銀杏と八丁浜踊りは、悲劇と感謝の物語が織りなす、下関市亀山八幡宮の貴重な文化遺産です。

歴史と文化に触れ、人柱となった遊女「お亀」の勇敢な精神に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。